"elderly"という表記は高齢者差別的だそうです。

日本語である特定の言葉が差別的な用語として使われなくなるのと同じように、英語でも当然使うべきではない、という用語が時代とともに出てきます。先日、投稿前の論文を英語校正に出したところ、今まであまり気に留めず使っていた、あるいは論文で使われているのを目にしていた単語が差別用語なので避けた方が良い、と指摘されました。 それが "elderly"です。 認知症関連の論文を書いていて、今まで何気なく使っていたのですが、確かにこんなソースがありました。 Use of the Term "Elderly" : Journal of Geriatric Physical TherapyAvers, Dale DPT, PhD; Brown, Marybeth PT, PhD, FAPTA; Chui, Kevin K. PT, DPT, PhD, OCS, GCS; Wong, Rita A. PT, PhD; Lusardi, Michelle PT, DPT, PhD The terms senile, demented, and aged are unfortunate terms once in common use among physical therapy personnel. この中で、"The term elderly is ageist."(elderlyという単語は高齢者差別です。)とはっきり明言され、senile、demented、agedという…

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英会話学習に見る言語習得の過程

前回、私の英会話の勉強過程は、 1. 単語レベルでの聞き取り、復唱 2. 短文レベルでの聞き取り、復唱 3. パラグラフレベルでの聞き取り(、復唱) を繰り返し行ってきた、と言いました。これ、よく考えてみたら、神経心理学的に言えば、語レベル、短文レベルと難易度を上げながら、聴覚的理解、言語性short term memory(STM)、発話を鍛えて行った、という、言語能力の習得過程だなあと気づきました(英語は言語なので当たり前ですが)。 このうち、少し前まで、自分の聴覚的理解が良くなっていることが楽しかったですし、それが目的になっていましたが、最近になって一番面白いなと実感しているのは、文レベルの復唱ができるようになってきているということです。勉強開始当初は、real英会話の短文は、聞き取れても復唱が不可能、ということがかなりあったのですが(良く考えると、この状態、伝導失語みたいになっていますね。もちろん、まだ私は英語の能力を獲得したことはないので、失語ではないのですが。)、今は概ね復唱が可能になりました。さて、これは私の言語性STMが大きくなって、以前は短期記憶で保持できなかった量を保持できるようになっているということなのでしょうか? 目次 short term memoryとマジカルナンバー7±2 言語習得の過程で、塊と認識されるものが大きくなった? STMと伝導失語 関連記事 …

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英会話を学ぶならひたすら聞いて復唱しなさい-2016年国際学会編

前回(私の英会話"継続"のコツ4 step)は、ここ3,4か月、英会話の勉強を継続できたコツをまとめました。 やった事は非常に単純でしたが、まさに継続は力なり、という印象で大した事はしませんでしたし、お金もあまりかかりませんでした。 今回は、継続的になにをどのように勉強したのか、をまとめてみたいと思います。 目次 まず、英単語を聞く、復唱する! 定型文を聞く、復唱する! 学会発表に特化した英語を学ぶ! 自分の読み原稿のアクセントを調べ、繰り返し読む! ひたすら聞いて復唱しなさい 関連記事・参考文献 スポンサードリンク まず、英単語を聞く、復唱する! これは前回も書きましたが、私が最初にやったことの1つは、英単語のリスニングです。その理由は、単純なことで長続きさせるという意図もありましたが、単語レベルでリスニングに苦手意識があったので、文のリスニングよりまず単語のリスニング、と思っていたからです。あとは多少語彙力に不安もありましたが。 このための教材を選ぶ上で、私にとって重要だったことは、単語を発音してくれること、その単語のスペルを見なくても操作できること、でした。その2点をクリアしたアプリが、「英単語アプリ mikan」でした。 このアプリは、テストをスタートすると、画面上部にランダムに単語が表示されると同時に発音してくれ、画面下部の4択の中から正しい日本…

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私の英会話"継続"のコツ4step-2016年国際学会編

ここ最近、自分の英語の勉強法についてばかり投稿してきました。研究をするにあたって、英語で論文を投稿すること、国際学会で発表すること、海外の研究者と討論することはとても重要なことです。私自身は英語の論文を投稿すること、国際学会で発表することはある程度してきましたのに対し、海外の研究者と英語で満足に討論する、というレベルにはまだまだ達していません。 ただ、2016年末の国際学会での発表に当たって、3,4ヶ月程度ですが結構真面目に英会話の勉強をしてきた中で、これまでより少し英会話ができるようになった実感が出てきました。ほぼ毎日英会話の勉強をし続けた継続の結果だなぁと感じているのですが、その勉強継続のコツとして私が意識していたことを、4つのStepに分けてまとめたいと思います。 目次 Step1: 「ながら勉強」で時間を確保 Step2: 単純作業から習慣化する Step3: 継続のための3.5要素を用意する 3.5要素その1. ノルマ:短期的ノルマの重要性 3.5要素その2. 記録:視覚化による達成感の強化 3.5要素その3+0.5 (→成果)、仲間:達成感に対する保証 Step4: 2つのことを意識的に行う 関連記事 スポンサードリンク Step1: 「ながら勉強」で時間を確保 当たり前といえば当たり前なのですが、英語を勉強する時間を用意することが重要で…

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接頭辞・接尾辞・語の連結-医療英単語を100倍にしなさい。

少し前から巷で話題の医療英単語本を、類にもれず読んでみました。 この本の一貫したテーマは、医学生、医療者ならおそらく自然となんとなく理解している、医学的な接頭辞・接尾辞をできる限り多く覚え、それを連結する方法を知ることで、効率よく医療英単語を覚えよう、ということに尽きます。 『トシ、1週間であなたの医療英単語を100倍にしなさい。できなければ解雇よ。』posted with ヨメレバ田淵 アントニオ SCICUS 2009-06-25 AmazonKindle 例えば、「脳」を表す「encephal」に、「炎症」を表す接尾辞の「itis」をつなげることで、「脳炎:encepalitis」ができる、といったところです。 当たり前といえば当たり前ですが、なんとなく経験的に身につけていっているこのような知識を、意識的に覚えていけ、と、医療関係の英単語に特化して提示し続ける本は確かにあまり見かけなかったなと感じました。 もう一つ、この本の大きな特徴は、タイトルの通り、「1週間で」この本を一通り読ませるための構成を取っていることです。全部で7つの章で構成されていて、1日1章、7日間で読む、という構成です。 各章の冒頭と最後が小説形式になっていて、全体的に堅苦しくなく、気楽に読めるのが良いですね。トシという日本人研究者が、海外のラボで、美人な同僚のソフィアに手取り足取り医療英単語の構造を解…

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speakingのための定型文がlisteningに活きる-国際学会English

久しぶりの投稿になります。先日、国際学会での発表があり、それに向けて忙しくしていました。発表に向けてスライドの準備や英語の勉強をしたりと、バタバタしましたが、発表も無事に終わり、ようやくひと段落です。 英語、特にリスニングの勉強のためにこの数カ月いろいろとやってきました。iPhoneアプリを使ったり、国際ジャーナルのWEBサイトで公開されている音源を手に入れたり。 少しずつリスニングの力がついてきたなぁと思ったところで気になったのが、スピーキングの能力です。発音もそうなのですが、英語でのプレゼンテーションとして自然な英語になっているか、ちょっとした時にさっと自然な英語が出るか、といったところです。 おきまりの定型文を覚えていくのが良いのでしょうが、日常会話のような定型文を覚えていって、それを発表に応用していくには、発表までの時間がなかったので、もっと効率よく、学会発表に向けて、定型文を覚えられないかなと思い、手にしたのがこの本でした。 国際学会English挨拶・口演・発表・質問・座長進行posted with ヨメレバC.S.Langham 医歯薬出版 2007-04-01 AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo この本自体を購入したのは、2年前に国際学会で発表した時なのですが、今回読み返してみて、非常に良い本だと今更ながらに気がつきました。 まず、なんといってもこの本の特徴は、国…

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(英語)学習継続支援アプリ・Studyplus

国際学会に向けて、9月末頃から、リスニングを中心に英語の勉強を続けています。iPhoneアプリを使って勉強しているのですが、1か月半を過ぎ、順調に継続できています。 その中で、勉強そのものに使うわけではないですが、勉強継続に役立っているのが、Studyplusというアプリです。 Studyplus 勉強を習慣化 無料アプリ スタディプラス 開発元:Studyplus Inc. 無料 posted with アプリーチ このアプリの機能は大きく分けて3つです。 1.ノルマを設定する 2.勉強を記録する 3.同じように勉強している人とインタラクションする ノルマを設定する このアプリでは、まず1週間の目標を設定します。例えば、週に10時間勉強する、とか、週に1000問問題…

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国際学会でのspeaking、listening対策–PubMedと英文読み上げアプリの活用

国際学会で発表するにあたり、自分のプレゼンテーションにおける英語の発音が正しいか気になることがあります。また、自分のプレゼンに対する質疑の際に、質問者の英語がなかなか聞き取れないことがあります。このように自分の英語プレゼンテーションに関連したspeaking、listeningを強化したい、という方は非常に多いと思います。 今回は英文読み上げアプリを用いて、 1.自分の英語プレゼン原稿をひたすらリスニングする 2.関連分野の論文Abstractをひたすらリスニングする ことで、自分の英語プレゼンテーションに関連したspeaking、listeningの強化を考えてみようと思います。 英文読み上げアプリ iSpeech iSpeech Text To Speech 開発元:iSpeech, Inc. 無料 posted with アプリーチ …

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New England Journal of Medicineのマルチメディア–論文、ビデオだけじゃない!

以前、The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE(NEJM)では医学教育ビデオがWeb上で公開されていることを述べましたが、NEJMで公開されているものは論文とビデオだけではありません。様々なmultimedia教材が公開されています。 Audio Summary 英語リスニングの教材として非常に汎用性が高いのが、Audio Summaryです。なんとこのAudio Summary、NEJMに掲載されている注目すべき論文のサマリーの音源になっています。以前紹介したビデオ同様、非常に聞き取りやすく、医学英語のリスニング教材としてはうってつけの音源になっています。 しかもこの音源、ストリーミングだけでなく、MP3ファイルとしてダウンロードもできるので、MP3プレイヤーに入れて聞くこともできます。 各音源の冒頭の内容紹介についてのみ、WEB上で文字にも起こされていますので、どんな内容の音源なのかも一目でわかります。 Images in clinical medicine もう一つ面白いなぁと思ったのが、臨床現場で遭遇する症例の特長的な画像をピックアップし、その症例についての短い紹介が添えられているImages in clinical medicineという症例報告集です。短い症例提示と特長的な画像だけなので、読みやすいですし、勉強にもなります。 さらにここから発展して、Image challengeという企画も存在します。これも特長的な症例の…

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howeverとbut-長い複文を分割して分かりやすくする-

最近知人と話題になった話のひとつに、howeverとbutの違いというものがあります。howeverとbutはどちらも「しかし」というニュアンスで、一見違いがないようにおもいますが、決定的な違いがあります。英語で論文を書く際にもその違いを理解しておくことは必要です。さらにこの違いをきちんと認識し、howeverを積極的に使うようになると、長い複文を短くて分かりやすい文章に分割するきっかけになるかもしれません。その異なる点をいくつかの視点でみていきます。 目次 そもそも品詞がちがう 会話か、文章か howeverを文の途中に持ってくる 関連記事・参考文献 スポンサードリンク そもそも品詞がちがう まず、howeverとbutは品詞が違うことを念頭におくことが重要です。それを理解しておけば基本的な使い方の違いが理解できます。 however副詞 but接続詞 howeverとbutの使い分けが難しいと感じている方の多くは、この違いを見ただけでああそうか、となるのではないでしょうか。つまり、butは接続詞のため、節と節をつないで複文を作ることができるが、howeverは副詞なので、節と節をつなぐことはできない、ということです。 ではhoweverは何に対して「しかしながら」なのかというと、howeverの1つ前の文章になります。 butの使い方 正I like sushi but …

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