認知症への理解の低さはこんなもの

今日は研究デザインのことですごく基本的なことを調べようと思い、いくつかそれっぽい文献を読んでいたのですが、その中の2016年の某雑誌に掲載されていた、公衆衛生学の先生の文献での下記の記載を見て、愕然。 「(認知症発症というアウトカムの要因を調べたいコホート研究で)研究を質問票のみでする場合、認知症発症診断テストMMSEの質問項目に入れておけば、認知症発症を調べる事ができます。」 絶句。 まず、そもそも日本語としてなんかおかしい、ということは眼を瞑りましょう。そんな瑣末なことより、です。 MMSEに認知症発症診断テスト、などという二つ名が付いているのを初めて見ました。 私はMMSE(Mini-Mental State Examination)は非常に優れた検査だと思っています。認知症の方に限らず、様々な疾患で、精神状態(Mental State)を評価するにあたり、多角的な認知機能をベッドサイドで簡単に評価できるため、頻繁に実施しています。各項目でどのような反応をするか、という定性的な見方をすると、それこそ、単純に認知症というだけでなく、アルツハイマー型認知症なのか、レビー小体型認知症なのか、などの背景疾患を想定するのにも用いる事ができます。 一方で、この「認知症発症診断テスト」という言い方は、おそらく「何点以下なら認知症、それ以上なら認知症じゃない」という結果が出せるテスト、というニュアンスで書いているのでしょう。実際に、研究でMMSEを入れておけば認知症発…

続きを読む

New England Journal of Medicineによる医学教育ビデオ

医療においては、侵襲的な処置を行うことが当然ありますが、誰もがその侵襲的な処置を初めて行う、という場面があります。それまでにはもちろん、指導医の処置を見たり、専門書で処置についての知識を得たり、シミュレーターで練習したり、と準備をするわけですが、最近はビデオの存在がかなり大きいと感じています。 私も研修医時代、腰椎穿刺やグラム染色、挿管などをyoutubeで検索しては繰り返し見て、そして実際に行う、ということをしていました。 先日、興味本位でyoutubeで「腰椎穿刺」と検索すると、トップに出てきたのはなんとNEJMの監修によると思われる腰椎穿刺ビデオでした。 その中では、腰椎穿刺の手技だけでなく、穿刺そのもの以外の準備や、穿刺の際に針が通過する組織、穿刺禁忌を見抜く方法、有害事象など、非常に丁寧な作りの教育ビデオになっていました。 そこで、実際にNew England Journal of MedicineのHPを見てみますと、同じようなビデオが多くアップロードされていました。なんと、血圧の測り方(自動測定ではなく、水銀柱と聴診器を用いた測定法。高血圧の定義の解説まで!)など、非常に基本的な項目まで! http://www.nejm.org/multimedia/medical-videos 英語の発音も非常に綺麗なので、聞き取りやすく、リスニングの勉強にもなり、おすすめです。 ちなみに、腰椎穿刺ビデオの中で、初圧を図る際に、穿刺針と圧棒を連結するのに、"f…

続きを読む

スポンサーリンク