トレリーフ「レビー小体型認知症に伴うパーキンソニズム」への追加承認-どんなときに使う?

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2018/7/2より、トレリーフOD錠25mgが、「レビー小体型認知症に伴うパーキンソニズム(レボドパ含有製剤を使用してもパーキンソニズムが残存する場合)」の効能・効果の追加承認を受けたそうです。

大日本住友製薬のNews Release

元々パーキンソン病(PD)に対して効能・効果のあった薬ですが、レビー小体型認知症(DLB)で使用する場合のポイントを簡単にまとめたいと思います。


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ゾニサミドとは:元々抗てんかん薬

トレリーフは一般名ゾニサミドという薬で、元々はエクセグランという商品名の先発品で抗てんかん薬として販売されていました。

てんかんに対するゾニサミドは、成人の場合は内服開始当初は100-200mg/dayで開始し、1-2週間ごとに増量して200-400mg/dayを維持容量とする、成人の最高1日量が600mgの薬です。おもに部分発作に対して第二選択薬として用いられる事がある薬です。

パーキンソニズムに対する効果:振戦とwearing-off

ゾニサミドがPD治療に用いられるようになったのは、けいれん発作を偶然起こしたPD患者にゾニサミドを投与したところ、痙攣抑制だけでなく、パーキンソニズムの改善も見られたことがきっかけだそうです。一方で、てんかん発作と違い、パーキンソニズムへの効果は非常に低容量で得られることもわかったため、新たにトレリーフ25mg/50mgとして、低容量製剤がパーキンソン病に対して適応となり、使用されるようになりました。

これまでのPDに対するトレリーフ使用のポイントは、以下の4点です。

  • レボドパ含有製剤に他の抗パーキンソン病薬を使用しても十分に効果が得られなかった場合
  • レボドパ含有製剤と併用する
  • 25mg/dayでパーキンソニズム(特に振戦)に有効
  • 50mg/dayでパーキンソン病の日内変動(wearing-off現象)の改善に有効

50mg/dayの効果として、25mgと比較してon時の症状に有意差は見られなかったが、offの時間が減った、というのがなかなか面白いところだと感じます。

DLBへの適応:25mgだけ

一方で、今回適応追加になったDLBでの使用ポイントを見てみましょう。

  • レボドパ含有製剤を使用してもパーキンソニズムが残存する場合
  • レボドパ含有製剤と併用する
  • 25mg/dayのみ適応あり、50mg/dayは適応でない
  • BPSDや認知機能障害に影響しにくい

PDの適応と異なる点がいくつかあります。

まず、PDの適応条件である「レボドパ含有製剤に他の抗パーキンソン病薬を使用しても十分に効果が得られなかった場合」と異なり、レボドパ含有製剤以外の抗パーキンソン病薬を事前に試す必要がない点です。

これはPDとDLBの抗パーキンソン病薬による治療戦略の違いに関連しています。DLBに対する抗パーキンソン病薬治療では、ドパミンアゴニストなどはレボドパに比べ幻視などのBPSDを増悪させるリスクが高く、抗コリン薬は特に認知機能障害も増悪させる可能性があるため、レボドパ含有製剤以外の抗パーキンソン病薬はあまり使われません(少なくとも1st choiceになることはありません)。そのため、PDと異なり、DLBではレボドパ含有製剤以外の抗パーキンソン病薬の使用歴を適応条件に含めていないのでしょう。

このことは4つ目のポイントである、「トレリーフはDLBのBPSDや認知機能に影響を及ぼさない」という点と関連します。レボドパもドパミンアゴニストなどに比べればましなものの、DLBのBPSDを増悪させるリスクがあったので、今後、DLBのパーキンソニズムの治療戦略として、

「レボドパ200mg/dayくらいで多少の反応性はあったけど、まだパーキンソニズムが残っている。PDだったらもっとレボドパを増量するけど、DLBだし幻視が増悪増悪したら嫌だな。」

というケースにトレリーフ25mg/dayを追加する、という治療戦略があるかと思います。

副作用は抗てんかん薬ぽい

BPSDや認知機能に影響を与えにくいということで、他の抗パーキンソン病薬で見られやすい、DLBにとって厄介な副作用は少ないようですが、報告されている副作用は、

体重減少、眠気、食欲不振、発疹、転倒

などの抗てんかん薬で良く見られる副作用が多く、NPIの得点の変化はプラセボ群と有意差はなかったものの、幻覚や精神症状の悪化も見られたようです。

使用時はこの辺りを特にフォローしていく必要がありますね。

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薬価が・・・

これまでDLBの薬物治療では、

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と、主要な症候に効果のある薬を投与すると、他の主要な症候を増悪させる副作用が出やすい、というジレンマを抱えていました。

そういう意味では、トレリーフはパーキンソニズムへの有効性があり、認知機能やBPSDに影響しにくいという点で、DLBのパーキンソニズムへの治療に大きな期待ができる薬と思われます。

一方で、トレリーフが発売された当初から言われているのが、同じゾニサミドであるエクセグランやそのジェネリック薬と比べて、薬価が圧倒的に高い点です。

薬剤名薬価25mgあたりの薬価
トレリーフ錠25mg、トレリーフOD錠25mg948.5円/錠948.5円
トレリーフOD錠50mg1422.8円/錠711.4円
エクセグラン錠100mg27.4円/錠6.85円
ゾニサミド錠100mg「アメル」16.5円/錠2.725円
ゾニサミド散20%「アメル」33.5円/g4.1875円
*2018年7月現在

25mgに測りやすいゾニサミド散20%と比較すると、トレリーフ25mgは200倍以上高いことになります。ちなみに、PDへの適応を取った当初からすると、トレリーフの薬価は徐々に下がってきており、今年度も下がった結果です。

もちろん、大きな費用負担をかけて、PDやDLBに対する治験を実施した製薬会社が、その費用を回収するための正当な薬価ですが、同じ成分が200倍の値段で売られているというのは、心理的に抵抗があります。

ちなみにトレリーフの薬価は、同じ抗パーキンソン病薬であるエフピーの1日薬価と比較して算定されたものです。

薬価の点がなければ積極的な処方も考慮したくなりますが、唯一薬価の点で、処方に二の足を踏んでしまいそうです。

関連記事、参考文献

レビー小体型認知症(DLB)の新診断基準
DLB診断基準のまとめ

大日本住友製薬のNews Release

ゾニサミド錠の薬価比較@MEDLEY


7年ぶりに改訂されたパーキンソン病診療ガイドライン。


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