サイコろまんちか-漫画で触れる心理学

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心理学は非常に面白い分野だと思って関わっているのですが、一般的に心理学の本は、薄っぺら過ぎて胡散臭い本と、重厚過ぎてとっつきにくい本、マニアックすぎて読んでいるうちに興味が薄れる本が多く存在するように思います。簡潔で分かりやすく、しかし内容がある程度しっかりしており、幅広い内容をカバーしている書籍という初心者に優しい設計の本としては、池谷裕二先生の著作があげられるかと思います。例えば、最近の著作だと、講談社のブルーバックスから出ている、「自分では気づかない、ココロの盲点 完全版」などが挙げられます。

漫画好きな私は、2年くらい前から、そんな池谷裕二先生の著作をストーリーを仕立ててうまくマンガ化したようなマンガと出会い、何度か読み返していました。

それが、小出もと貴先生の「サイコろまんちか」です。

ストーリー自体は冴えない女子高校生が自分の学校生活(というか恋愛?)をより良くするために学んだ心理学の知識で、本人がサクセスする、というよりは、心理学の知識をひけらかして、周囲に「ほらみろこうなるだろ」とドヤァしている感じの内容で、ストーリーそのものもとても楽しめる漫画になっています。

1巻の最後には、主人公が心理学を学び始めたきっかけとなるエピソードが書き下ろしで収録されていますが、なんでこんなきっかけで出会ったおっさんに影響されて、心理学を学ぶと人生がばら色になると信じることができたのか不思議なあたり、主人公の精神病理の闇の深さを感じる高校生という多感な世代の、素直でもあり天邪鬼でもある特徴を感じます。

漫画好きや映画好きにもクスリと笑えるパロディが多くあり、ギャグ漫画としてのセンスもとても好きです。

そして、何より各エピソードで紹介されている心理学エピソードが具体的かつ秀逸で、分かりやすく、つい「あるある」と言ってしまうあたりが、この漫画の非常にいいところだと思います。

個人的には3巻収録のジンクピリジオン効果のエピソードが、パロディも含めて気に入っています。 また、加野君というキャラクターにはなぜかどうしても感情移入してしまいます

残念ながら、作者の小出もと貴先生の体調不良のため、3巻で一応終わりとなっていますが、作者からも、今後続編が描ければ、という希望があるそうで、是非将来続編ができれば嬉しいと思う作品の一つです。

そういえば、少し前にTwitterで、「#今でも続きが読みたい未完の漫画」というハッシュタグがトレンドに上がりました。その時、この漫画を挙げたい、と思いましたが、一応、作者体調不良による終了とはいえ、完結しているということで、泣く泣く挙げられませんでした。本当に、是非、将来続きを!!


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