向精神薬乱用への社会の対応-今年は2つの変化があります

向精神薬は時折乱用が問題となることがあります。それに対して、今年は2つの大きな出来事が控えています。


です。

ゾピクロン、エチゾラム、フェナゼパムの向精神薬指定

ゾピクロンはアモバン、エチゾラムはデパス(フェナゼパムは国内流通なし)の商品名でそれぞれ有名なお薬です。
ゾピクロンはいわゆる非ベンゾジアゼピン系睡眠薬(Z-drug)、エチゾラムはベンゾジアゼピン系の抗不安薬で睡眠作用もあるため、睡眠薬としても用いられる薬剤です。

これらはこれまで向精神薬として指定されておらず、最大90日までの処方が可能でしたが、2016年10月16日に施行される、改訂された「麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令」に基づき、第三種向精神薬に指定され、2016年11月1日より、処方可能日数が最大30日に制限されます。

両薬剤の薬効や有害事象を考慮すると、この変更は妥当なものと思われます。特にエチゾラムについては依存や乱用がしばしば問題になる薬剤でしたので、重要な変更でしょう。

これまで90日分処方されていた患者さんの一時的な混乱が予想され、きちんと説明し、対応していく必要があります。ちなみに、私の外来では、大体どちらの薬剤を処方している患者さんも、元々30日以内の処方しかしていないことがほとんどなので、大きな混乱はなく11月を迎えられそうです。

ベゲタミンの販売中止

少し前の話になりますが、ベゲタミン(クロルプロマジン-プロメタジン-フェノバルビタールの合剤)という睡眠薬が、日本精神神経学会からの「薬物乱用防止の観点からの販売中止」の要望を受け、今年いっぱいで供給停止、流通在庫限りで販売中止になることが、販売元のシオノギ製薬から発表されました。

ベゲタミンは、その成分からもわかるように、現在日本で流通している睡眠薬の中では最強とも言える睡眠効果を持つ薬ですが、依存や副作用の問題が指摘されている薬剤です。
強い効果を持つ睡眠薬であるがゆえに、他の睡眠薬では不眠が改善されない患者さんたちにとって、重要な薬という認識が強いかと思われます。そしてそれゆえにある程度流通が持続していたと思われます。そのような中で販売中止を決断したのは、様々な事情もあるかと思いますが、社会的に意義のある素晴らしい決断だと思います。

一方で、この販売中止に伴い、これまでベゲタミンを処方されていた患者さんの睡眠薬をどうするか、という問題が出てくるかと思います。私の外来では、元々私が睡眠薬としてフェノバルビタールを用いることに抵抗があったため、少なくとも積極的に処方することはありませんでしたし、元々内服されていた患者さんを引き継いだ場合も、ある程度積極的に置き換えをしていました。また、6月の販売中止の知らせが出てからは、残りの数少ないベゲタミンを処方していた患者さんにも、事情を説明した上で置き換えをしていき、もうほぼベゲタミンは処方していない状況に至りました。

なかなか置き換えが難しいケースもあるかと思いますが、なんとかなるもんだな、という部分もあるように思います。


薬物乱用への対応は非常に重要な問題です。もう間もなく迎えるこの2つの変化は、その対応として非常に重要で意義のある変化だと個人的には感じています。多少の混乱はあるかと思いますが、これらの薬剤を内服中の患者さんが大きな苦痛なく、この変化をやり過ごせるよう祈っています。

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